終宴を彩れ
聖餐の永遠な夢宴( https://x.com/hasami_J/status/2083207306267820104 )に参加しております!
自機の二人のSSです。他所の子さんお借りしております!お料理!
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屋敷に攻撃を向けた罰則はないかという不安で声をかけてしまったが、鬼頭大佐殿は冷静に現状を見極めていた。四凶に身を置いてからの浅学ながら、紅国の歴史を思えば魔術に対抗する技術が発展しているのは当たり前かとも思い至る。立場のある方に一礼をさせてしまった手落ちは汗顔の至りであるけれど、なんにせよ率先して動いてくださった方に苦痛や異常がないことには安堵しながら探索に参加をすれば、事件に至る因果の輪郭は緩やかに輪郭を表していった。大佐殿が所持していた通信機の稼働が成功し、現実世界に残っている方々とも連絡が取れるようになれば、互いの情報を共有するうちに100年前の事件が明らかになる。かつて客人との別れを嫌った異能の建築家曰く────最高の宴は終わってはならない────それまでに考えては胸の底が澱むような悪辣や残酷が吹き飛ぶような、幼稚ではあるがいじらしささえ感じる思いであった。だからこそ厄介ではあるだろうとも思うが。時を重ねた願いというものは利益による誘導が難しい、ましてやその手に生み出された故に、主の願いを忠実に全うしようとする屋敷自体の怪異となれば、尚更。
その中で発されたヴェロニカ令嬢の言葉は好機と言えるだろう────屋敷に宴を終わらせる最後の一皿を我々で作り出す────抽象的ではあるが、本人の納得とは呪いを解く為には重要な鍵となることが多い。
小青のまかない程度の腕ではあるが、手伝えることはあるだろう、この場が血生臭い代償を払わずに済むのならばそれに越したことはない。殴る蹴るでない持久力を問われれば一週間でも二週間でも保つ。料理の腕で必要でなくとも、野菜の皮むきだとか皿洗いだとかに使ってもらおう。レシピを探して材料を選んで、何を作るか、どんな器に入れるか……なんてことを考えては不安からの解放感もあり少しばかり楽しくなるが、この場所はあくまで四凶の仕事の延長線上にある。少しでも役に立つ資材としての働きをして、益の糸口を見つけられれば良いのだが。
◇◆◇
これだからブルジョワは。怒号とも嘆息ともつかない声をあげながら、帽子の位置を見るに頭に手をやっている刑事さんの様子を眺めながら、安堵と怒りに深く息を吐く。悪夢の中で邪神復活の餌にされる、なんてホラー映画をこの前菩薩様に見せられたからか、そうでなくても昏睡状態の人々がいる現状に気が立っていた。その状況を作った原因には「宴を終わらせたくない」なんて単純明快な我儘を突き付けられたが、単純とはいっても寝てる奴らは未だ戻ってこないし、夢の中の奴は完成しない一皿を言い訳に返す気もなさそうな口ぶりだ。大佐殿が通信機を使って会話は出来ても、巻き込まれた奴らが帰って来なければ問題は解決しない。最後の一皿を作るったって、それを終わりに相応しいと判断するのが給仕であり屋敷自体だとすれば相手の匙加減だ。あいつらが良い料理で宴を盛り上げたいって感情より、終わらない宴を続けたいって奴らなら、幾らでも難癖がつけられるだろう。
解決策が曖昧な今、一つだけ分かることはある。この瞬間、夢の中にいる腐れ縁の蛇爺がはしゃいでいるだろうことだ。あの爺は普段陰湿を演出する癖にこういう時に甘い。今も自分から前に出ることはないが、夢と通信中の画面端から「何を作りましょうか」なんて声が聞こえるあたりどう考えても楽しくお料理しておもてなしするつもりだ。ついさっき「厨房の食材は使わせて頂けますかね?」なんて聞こえたあたり、給仕からのNGが出たら他の部屋を探すふりをして蛇肉を切り出しかねない。巻き込まれた側の認識が足りない大馬鹿甘やかし爺である。
一つ呼吸を置く。この場で下手に萎える言葉は言わない。場の空気を乱す一兵卒はチーム全体を殺しかねないし、下手に意見がバラけて時間を喰えば「こうも迷うとは本心では宴を終わらせたくないのでしょう」なんて勘違いをさせて、標的の意思を確固たるものにし兼ねない。全員で協力して外に出ようと揺さぶりを続けて、少しでも相手の諦めを引きずり出せる行動を選んだ方が良い。料理は手伝えないだろうから、なるだけ多くのレシピを探すことにした。
◇◆◇
「最後の一皿」へのイメージ
巴蛇:もう会えないと思うから帰さないことに執着するのか? また集まる、次はもっと良い宴になると思える料理が良いかな? 宴が日常となってしまえば飽きてしまいそう。人によってどうとでも変えられるような料理の方が良いのかもしれない。いつも最高の宴を求められるなら、いつ終わらせても悔いはない、と思うのだが。
百目亀:もう宴をしなくても良いと思える一皿。今回だって十分な問題が起きたのだから、根本から対処できる料理が良い。完璧な最後の一皿、これ以上はない、みたいな最高傑作を出した方が相手の納得は得られるのでは? 満場一致とはいかずとも、出来る限り万人が完全と思う料理。