「イベント:聖餐の永遠な夢宴( https://x.com/hasami_J/status/2083207306267820104 )」に参加しております!自機脳内思考独白SS。一人でべらべら考えてます。
鋏定規さん宅( @hasami_J )から鬼頭さん、エアー刑事さん、ニカさんのセリフをお借りしております。
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気が付けば伏せていたのは伽藍洞の部屋の中。自分以外にも何人か顔見知りのヒトがいたので安心したが、すぐさま異常への警戒に視界がはっきりする。例えば此処が元の会場と地続きとして、何故此処にいるのが全員ではないのか。勿論何らかの理由があって宴を途中欠席することもあろうが、ならば此処に残った人々はどうして昏睡したのか。そして会場と似通ったこの場所は何故こうも閑散としているのか。まさか客人が昏睡状態のまま宴を終わらせる主催者がいるとは思えない。まともな主催者ならば事故についての釈明をする為治療施設に運ぶだろうし、そうでないならば昏睡した客を生かして転がしておくわけもない。無差別な毒物混入事件にしては昏睡した被害者が少ない気もするし、何人かを選んだにしては規則性があるようには思えない。ならば単なる事故だろうか。適切な処置をしなければ蕨も蕗の薹も毒物であり、食い合わせを間違えれば少量の酒と茸で死ぬ……とはいえ美食倶楽部を名乗る場所でそんなミスを起こす人間を雇い入れるだろうか。そもそもこの状況が食べ物だけに関わっているとは限らない。時間、場所、人数、気候……特定の行動を術式に組み込むことで本人達の預かり知らない術式を発動させる行為も、術師ならば一度は使う手だ。こういう時に怖気づいて、思考が彼方此方と揺れ動く自分が情けない。その場で「これ」と確定できるだけの頭が無いから、手数を増やすことしか思いつかないのだ。誰も怪我をしなければ良いと思う。異常時に人間が減っていく状況はそれだけでバイアスがかかりやすい。あいつらは間違っているから死んだ、自分達は正しいからまだ生きている……というような安心感を得たい為だけに暴走し、燃え盛る焔に焼かれる為に動くことにもなりかねない。
大きく破壊音が響く。窓ガラスと壁が破壊されたことに誰かが歓声を上げたが、すぐに引き攣った呼吸が重なる。壊れたはずのそれらが瞬く間に修復される姿は現実とは思えなかったのだろう。壊しても直る、お正月の苦々しい記憶を思い出して頭を振る。あれに似ている、という思考は似ていない部分への注意を失いやすい。
「この場に魔術に明るい者はいるか」
習わぬ経どころか我流の呪術だが、此処で動かずに至る道よりマシになればいいと呼び掛けに近づいて行った。
◇◆◇
「あんな奴は信じるもんじゃない!」
前の事件でも一人で走り回りっぱなしだった透明人間の警察関係者が声を荒げている。信じるべきではないという言葉を向けられたのは美食倶楽部の主催者だ。確かにこんな事件が起きているという割には落ち着いているし暢気に食事を続けているが、それだけで信用に値しないと断ずるのは気持ちは分かるが少しばかり早急だ。落ち着いているように見えるのも暢気に食事をしていると糾弾するのも、所詮は俺自身の主観が弾き出した答えだ。
それでも前の事件、人間を石像みたいに固めて美しいだ何だと値踏みしてたイカレ野郎に対する態度を見ていれば、エアー刑事だとか呼ばれてるこの男は人間性において信頼のおける相手、だと思う。何かあれば昏睡してる奴らもつれて此処から避難するってこともあるだろうし、惜しむ理由もないから協力してやりたいところだ。
それにしても、現状においては何も分かっていない。例えば嘔吐や腹痛を訴える人間がいれば分かりやすく食材や調理、保存方法なんかに目星を付けられるんだろうが、今起きている現状を確認すれば眠っている以外に何の症状も見られない。一服盛られた、なんてことも考えてはみたが昏睡してる奴らの様子はほとんど違いがない。それぞれに食う量が異なるだろうに、呼吸が止まって危険な奴や逆にうとうとと覚醒し始める奴もいない。偶然此処に居合わせた全員が同時刻に意識を失い、同程度の意識レベルに保たれたまま眠っているなんてそんなことが可能なんだろうか。
「刑事様も、会場の皆様も、どうぞご自由にお調べください」
おっとりと主催の女性は言う。名前はニカと言っていただろうか。彼女の言葉を聞くに此処には使用人がいるということらしかった。しかし、俺以外にも何人かが周りを見回して怪訝そうな表情をしている。
もてなしの際に使用され、部屋の掃除から料理洗濯、時に主人の引き立て役や子供の情操教育にも選ばれる存在。使用人の頭の出来によれば、困っているご主人様を助けようと積極的に客人との関係性を求めることもあるだろう。
(だとしても……その使用人は何処にいる?)
そう、何処にも見当たらない。料理人などは仕事内容を考えると易々と厨房から出てこれないとは思うが、酒や軽食などを運ぶ為の使用人までが誰も姿を見ていないというのは気になる。調べてみるか、と思考を巡らせて刑事の方へ声をかけることにした。